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長谷川医師からRSワクチンの必要性について
- 2025年09月25日
- 患者さま向け
こんにちは。小児科の長谷川泰浩です。今回は子どもの代表的な感染症のひとつである RS
ウイルス感染症についてお話しします。RS ウイルス感染症は、RS ウイルスが原因となっ
て、発熱、鼻汁、咳などのかぜ症状や、気管支炎や肺炎を起こす病気のことです。生後 1 歳
までに7割近く、2 歳までにはほぼ全ての人が感染します。1 歳までに感染した場合はその
3割が気管支炎や肺炎になり、そのために 1 週間程度入院して治療を行うことがよくあり
ます。一方で大人や年長の子どもたちも感染はしますが、重症になることはあまりありませ
ん。
RS ウイルスは咳やくしゃみなどを周りの人が浴びたり(飛沫感染)、ウイルスが含まれた唾
液などが付いた手指や物を介する(接触感染)ことで周りに広がるので、鼻水や軽い咳だけ
などの症状が軽い大人や学童年齢の子どもたちが家庭に持ち込み、家族内で広がってしま
うことがよく見られます。怖がりすぎることはありませんが、「ちょっと調子悪いな」って
ときほど手洗いや咳エチケットなどを思い出すことが家族の中での広がりを防ぐチャンス
かもしれません。
また主に 1 歳までの乳児が重症化してしまうことが 1 番の問題なので、最近は妊婦さんに
ワクチンを打つことで、妊婦さんにできた抗体を胎盤を通して乳児期の子どもたちを守る
免疫とする方法があります。重症化リスクを出生後 3 ヶ月以内で8割以上、6 ヶ月以内でも
7割近く減少させることがわかっており、新しい予防方法として今後広がっていくことが
期待されます。
(参考:国立健康危機管理研究機構, The New England Journal of Medicine 2023 年 4 月号)